オマージュで仲間なTVアニメ動画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のオマージュで仲間な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月27日の時点で一番のオマージュで仲間なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.0 1 オマージュで仲間なアニメランキング1位
86-エイティシックス-(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (674)
2332人が棚に入れました
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう、表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区"》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)"となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる!

声優・キャラクター
千葉翔也、長谷川育美

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あなたはゲームと戦争の違いを知っていますか?

この物語では、『あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重していますか?』と、問いかけています。
そして物語の中では、人間の強欲さや軍隊の理不尽な振る舞いが多く描かれます。
あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重してられますでしょうか?

この物語の背景では、大国ギアーデ帝国が完全自立無人戦闘機械(レギオン)を用いてサンマグノリア共和国などの諸国へ侵略を行っています。
サンマグノリア共和国も無人戦闘機械を用いて防戦をしているように国民へ公表しますが、その実態は第86区にいる少年少女たちを戦闘機に乗せて戦わせていました。

サンマグノリア共和国では、第86区に住んでいる人たちを人間として認めていません。その理由は『髪の色も瞳の色も違うから』 ただそれだけでした。
だから戦闘が発生しても戦死者はいつもゼロ。たとえ第86区の人たちが何人死んでも、戦死者はゼロと公表されます。

サンマグノリア共和国に住む16歳の少女レーナは、指揮管制官(ハンドラー)として第86区の精鋭部隊・スピアヘッドの指揮を執ることになります。
他の上官や同僚は、『第86区のものは将棋の駒と同じ』と考えているので、どんな犠牲を払おうとも気にしません。
でもレーナは第86区の人たちが人間であることを知っています。髪の色や瞳の色が違っても同じ人間であることを理解しています。

だから彼女は悩みます。
彼女の指令一つで何人もの人間が死ぬことを彼女は理解しています。
彼女は、指揮管制官となるには優しすぎる心の持ち主でした。

レーナは、理不尽な軍のやり方に憤りを感じます。でも、どんなに抗議をしても、軍の冷酷な命令は変わりません。
だから彼女は、隊員たちの命を守るために、あらゆる手段を講じます。
彼らを守るためならば卑怯者と呼ばれても気にしません。軍法違反も覚悟のうえです。

彼女が行ったことは確かに軍人としては問題ですが、人間としては大変立派な行動でした。レーナは部下を人間として尊重していたのです。
そんな彼女を私は尊敬します。


ところで、この物語を見て、ふと思い出したことがあります。
以前、米軍の戦闘機が敵とは無関係の建物を破壊したり、民間の人たちを殺戮したりしている映像をドキュメンタリーで見たときのことです。

数年前から中東やアフガンで戦う戦闘機の操縦者は、実はアメリカの米軍基地で操縦しています。
つまり、リモートで無人機を飛ばして地球の裏側の戦闘をしているわけです。
どんなことがあっても自分の安全が保障されているので、まるでゲームをしているように、「殺せ!、殺せ!」と戦闘員が叫んでいたのが忘れられません。

こうした愚行をする人はほんの一部であり、大部分の人は正常であることがわかっているのですが…
ゲームと戦争の違いが判らない人たちが戦争するのは、困ったものを通り越して恐怖です。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 49
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

外側で戦う少年少女と内側で戦う少女

この作品は内容が結構重いです。
何から書けば良いか上手く纏まりませんが、順番に。

作中に出てくる、サンマグノリア共和国……この国……控えめに言って腐ってます……

まず1つ。
この国では差別があります。
壁の中に住む者達と外に住む者達。

壁の中は平和です。
毎日好きな場所へ出掛けて、好きな物を食べて、好きな事をしている。

壁の外は戦う以外の選択肢はない……1秒後に……1分後に……明日、明後日、自分が仲間が死ぬかもしれない。
それでも戦い続ける86と呼ばれる者達。

壁の中はそんな人達の努力と犠牲の中で成り立っている平和……サンマグノリアは、その為に差別で86と呼ばれる人を追い出して、戦わせている。

壁の中では、今日の戦いの犠牲者は0でしたなんて幻想で真実を隠して、真実を知る者は人が命を落とした事に、無関心であったり、ゲームの様な楽しみ方、命を失うのを見て笑う人まで居ます。

これを見た時、私は、この人達は本当に人間なんだろうか?と思いました。
自分が守られてる事にすら気づけないお花畑の頭な上に、人が死んでいるのに、何も感じないの?と思いました。
その犠牲の上にある平和が続いているのは彼らのお陰なのよ?って…………

でも、こんな腐った人達の中に救いがありました。
レーナ……彼女はサンノマグリアの軍人。
彼女は86の真実を知り、それをどうにかしようと考えて動いている人です。

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戦死者0は無人機が戦っている設定。
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正直、凄くムカムカしますね!
更に、レーナは軍人達の間で戦死者0の裏にある残酷な真実を告げますが、それを聞いた彼ら彼女らの言葉にはショックでした……レーナの言葉は何一つ伝わらない……

でも、レーナは負けません!
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では、同じ国で育ったレーナと他の国民との違いはなんだろうか?
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だからと言って許される問題ではありません。
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でも、一方で、おかしい事に気づける人達がいる。
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勿論、彼らはアルバですが86の人を人間だと知っています。
同じ命の重みを解っていて決して見下さない。
誠心誠意で接して居ます。

でも、それが本心で偽りなくても!
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さて、スペアヘッドとレーナについて。
1個団体と1人を繋ぐのは無線です。
無線しかありません。
映像もデータ上の地形や配置マップくらいで……声しか届かない。

声しか届かない上にアルバと86は基本的には犬猿の仲みたいなものです。
だから、そのイメージが邪魔をして、スピアヘッド部隊にはレーナの気持ちが中々伝わりません。

彼女はスペアヘッドを気遣い。
戦闘の話や何気ない話をしてコミニケーションを図ろうとします。
視聴者側から見ればレーナって凄く優しくて、思いやりがあり他のアルバと比べても凄くいい子だと解ります。

でも、スピアヘッドの皆から見たらどうでしょう?
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でも、レーナに当たっても何も変わらない。

レーナの思いやりが伝わるのが、和解のエピソード。
セオトも自分が言い過ぎたと反省する。
このシーンって凄く救いのシーンなんです。
きっと、心無いアルバの人が相手なら反省しなかったと思います。

反省したって事は、少し……それは本当の本当に少しだけかもしれない……それでもレーナの本心が間違えなく伝わっていたんだって私は本当にそれを感じる事が出来ました。

ライデンは謝罪します。
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そして、「黒羊」がやってくる。
レーナは死者の声を聞いてしまう。
そして、黒羊の残酷な真実。

実はレーナがスピアヘッドを担当する時にハンドラーを壊すと言う話を聞かされて居ました。
担当したハンドラーは退役申請、担当変更、自殺をする者がいる。

私は、死霊の声を聞いた人を情けないと思いました…………
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この世界では2年ほどでレギオンとの戦争が終わり勝利すると言われていたようですが……

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でも、シンとレーナは必ず勝とうと約束する。
この2人は本当に強い。

そして、86の優しさを感じるエピソードがあります。
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でも、86は知っている。
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レーナは真実を知って怒りと絶望を感じる。
そこで、救いを求めたのは親友のアネット。
でも、彼女の言葉は酷いものでした……

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でも、結局、アネットは怖かったのだと思います。
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逆にレーナは見捨てない。
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だからこそ、レーナの言葉や行動に心は締め付けられてゆくのかもしれません。
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一方、最終司令でシンは兄の亡霊と対峙します。
シンは亡霊になったお兄さんを救いたかった。
でも、兄もシンを救いたかった。

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この戦いでレーナは視覚共有を使います。
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でも、そうじゃない。
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で、レーナがシンの兄に不発弾を撃ち込むシーンで、小さい頃のレーナがビンタをするシーンがありました。
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実はレーナは親友であるアネットに協力させていました。
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それがレーナの言葉と行動に隠された優しさだと思います。
否定されても罵られても、やっぱり大切な親友なのかな?って。

そして、戦いの後……
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シンの最後のセリフ「少佐、先に行き(逝き)ます」
レーナは間に合うはずもないのに走り出す。
そうして、外へ出た彼らはレーダーから消え去ったる……レーナだけを残して。

外へ出た彼らは凄く楽しそうに生きていました。
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そして、ファイドの記憶(メモリー)
この子は、見ていたら凄く可愛くて心があるのかな?って思います。
仲間想いで優しくてシン達の必要なものを探してくれたり。

ファイドの記憶を見ているとファイドは皆の人気者の様な子かもしれませんね。
皆と喜びを分ちあって。
沢山の人が人の様に接してくれて、楽しい事や嬉しい事、悲しい事やら沢山の言葉と笑顔を記録して……ファイドの記憶を見るとファイドは本当に皆が好きだったんだって解る。
そして、シンが大好きなんだって。

ファイドの視覚レンズから液体が流れているシーンがあります。
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さて、シン達は廃校に辿り着きます。
これは、少し切なかった。
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道中……シンは敵を発見します。
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一方、レーナは最前線に視察に来ます。
前回の命令違反は謹慎処分で、時間が出来たので訪れた。
彼女は見てみたいと思ったのでしょう。
スピアヘッド部隊が過ごし生きたその場所を……

そこでレーナは彼らのメッセージを受け取ります。
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「いつか俺達が行き着いた場所まで来たら花でも備えてくれませんか」
シン達のメッセージを受け取ったレーナもまた。

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シンはどこかで無事でいる事を信じて自分に出来る全力で戦う決意をする!

86は10月に2クール目が放送らしく、これはかなり楽しみですね。

シン達は生きてるのか?死んでるのか?
レーナは、これから救いようのない国を世界を、どう変えて行くのか?
楽しみです!(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2025/03/22
♥ : 27

U-yan さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

想像以上の良作でした!

第2クールも込みで評価致します。まず言いたいのはここまで良作だとは思っていませんでした!情報ゼロで観たのも良かったのかな〜。ですので内容には触れずに書きます。ストーリーの描き方や構成もオシャレだし、キャラクターの心情等の描き方もとても良かったです!というかそもそも物語が良かった。早く続きが観たいんだけど、一気観してあっという間に観終わっちゃうのも寂しい・・・。みたいな感じで葛藤するくらいでしたw迫力ある戦闘シーン、キャラデザもいい。声優さんも私の中ではハズレ一切なしでとても良かったです。音楽はOP.EDもBGMもとても良かったかな。良いトコで第2クールが終わりました。というか「ついに!?」ってトコでしたね。泣いたわ〜w原作は続きがあるみたいですね。2023.5現在、続編情報はないですが、絶対制作して欲しい!というか完結までお願いします!

投稿 : 2025/03/22
♥ : 5

69.4 2 オマージュで仲間なアニメランキング2位
メガロボクス(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (265)
868人が棚に入れました
『あしたのジョー』を原案としたオリジナルストーリー。八百長試合に身を沈めるボクサーが、運命に抗うために、自分の全てをかけてリングで闘う姿を描きます。

声優・キャラクター
細谷佳正、斎藤志郎、安元洋貴、森なな子、村瀬迪与、木下浩之
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素晴らしいの一言〈ギアについて思ったこと追記〉

2018年春アニメ。
「あしたのジョー」連載開始50周年企画。
「あしたのジョー」を原案とし、世界観を変えたオマージュ作品。原作未読、本作以外のアニメは未視聴です。


第3話まで見た印象としては、物語は王道でキャラクター描写も素晴らしく、世界観もわかりやすく味わい深い。テーマも最初の段階から見えています。
BGMもよく合っていますし、使い所もしっかり選んでいます。
ネタバレレビューを読む
(2018.4.24)


第4話「LET'S DANCE WITH DEATH」 ネタバレレビューを読む(2018.4.30)


第5話「THE MAN FROM DEATH」
第6話「UNTIL THE LAST DOG DIES」 ネタバレレビューを読む(2018.5.14)

※6話について追記ネタバレレビューを読む(2018.5.21)


第7話「THE ROAD TO DEATH」ネタバレレビューを読む(2018.5.21)


第8話「DEADLINE OF THE DREAM」
第9話「A DEAD FLOWER SHALL NEVER BLOOM」ネタバレレビューを読む(2018.6.4)


第10話「THE DIE IS CAST」
第11話「A DEADMARCH」ネタバレレビューを読む(2018.6.18)


第12話「LEAP OVER THE EDGE OF DEATH」 ネタバレレビューを読む(2018.6.25)


・ユーリの犬について・
「わんこ可愛いよわんこ」って言いたくて…
いえ嘘ですw
ネタバレレビューを読む(2018.6.25)


第13話「BORN TO DIE」ネタバレレビューを読む
(2018.7.2)


【BDBOX1について】 ネタバレレビューを読む
(2018.8.2)

【BDBOX2について】ネタバレレビューを読む
(2020.2.16)

【ギアについて】
これは人間ドラマのためのギミックであることは間違いないので、それで納得できない人は一定数いるとは思います。あにこれのレビューではwaon.nさんが鋭い指摘をされていますね。
私も何回か見て整理した内容を個人的に記しておきます。
ネタバレレビューを読む
2期はギアがどう描かれるのかも含めて楽しみですね。1期ももっと色んな人が見てくれたら嬉しいな。
(2021.4.18)

投稿 : 2025/03/22
♥ : 42

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あしたのジョーを久しぶりに感じた。ネタバレしてない…はず

 正直に言います。
 期待していませんでした。
 というか、私の中で少しノスタルジーに駆られて1話観てみようって事でチラ見のつもりでNETFLIXにて視聴してみたのですが、最後まで止まりませんでした。
『あしたのジョー』はまだ小学生の頃に見た記憶だけれど、テレビ版の再放送だったのか、劇場版をテレビでロードショーとして流していたのを見たのかは忘れました。
 でも、今でも鮮明に思い出せるシーンが数多くある。……っと長くなってしまいそうだが、あしたのジョーのレビューじゃないので、割愛。
 まぁそういう昔の美化された思い出ってそれを超えるのは正直無理だろうし、話数的にもメガロボクスは短いので、できることは限られる。
 その限られた時間の中であの濃密なドラマを演出しなければならないというのはこれは監督、シリーズ構成、脚本、演出、どれも難しい仕事になるというのは想像に難くない。
 『あしたのジョー』は、ジョーと力石は重量級の違いもあってなかなか試合をすることができなずにいる。
 ジョーがいくらランキングを上げてもそこには体格の差が立ちはだかる。
 それを可能にするのが減量という、十字架で、これを力石は背負う事になった。
 じゃあ、ジョーは? 彼は貧しいという十字架を背負って勝ち上がる。逆境から勝利へのカタルシスが半端ないし、当時『あしたのジョー』という作品があれだけヒットしたのは、時勢的なものもあったでしょう。
 正当化された暴力、強さへの単純な羨望もあったのかもしれない。
 ともあれ、そんな境遇も階級も違う二人だからあれだけのドラマが生まれたんだと今の私は少し理解できる。

 メガロボクスにおいては、重量級という差を無くす為にギアというプロットデバイスがある。
 んでもってこいつの着想はなかなか面白く、貧富の差が性能の差に現れる。我々の住んでいる現実なら、こういうプロ対プロの試合でマシンを使うのであれば、どちらも同じだけの資金を割と投入できる環境で勝負するのだろうが、この作品では「メガロボクスは誰にでも拓かれている」という言葉どおり市民権があれば誰でも参加資格を得られるらしい。
 一つのデバイスで重量級の差を無くすこと貧富の差を浮き彫りにする事の二つの要素を持たせるこの道具の存在は上手いなと感じる。
 これは結局物語を動かすためだけのプロットデバイスであるので、これを上手に使って相手を倒すとかいったお為ごかしには使われないのが、さらに良い。
 これメガロボクスである意味なくない? とか言う感想を持つ人がいたら聞いてみたい。じゃあどうやって貧富の差と重量級の差というものを解決しつつ13話で面白くしつつ、しかも、サブキャラの背景まで掘り下げるんだい?
 これはそれだけで良かったんだと私は思う。

 演出に関しては、勇利と力石、力石のあの鬼気迫る表情が現代に蘇った。ジョーはちょっとキャラが難しかったのか、あの飄々で無鉄砲で周りを顧みないスタイルになりきれなかったかな? 声優の細谷さんのキャスティングかなー? なんて感じるけれど、見た人はどうなんだろう?
 この世界観のは懐かしさもあり、未来的な感じもあり、AKIRAやブレードランナーのような雰囲気も少しするので好きでした。

 また、音響が痺れる!
 1話目の勇利とジョーが初対峙するシーンなんか色々最高です。ここ観て私は引き込まれました。
ここまで見てもらえれば、あしたのジョーが好きだった人は最後まで見てしまうだろうと思います。
 彼らのドラマがどうなるか、分かっていながら見てしまうんです。その過程が楽しいんです。
 丹下段平が立つんだジョーと叫ぶ。南部贋作が立つんだジョーと叫ぶ。どっちが好きになれる?私は南部贋作が本物にしたジョーに立てと叫ぶその瞬間に感動しましたよ。
ではよしなに。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 7

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

実存のゆくえ

【誤記修正】

50周年を迎えた『あしたのジョー』のアニメ化。

原作を再消化し現代によみがえらせたアニメ化だが、感想の前に、少し原作を振り返っておきたい。


原作の『あしたのジョー』については、マンガ批評家の夏目房之助による分析と批評が最も説得力がある。

梶原一騎と ちばてつや というまったく異なる巨大な才能同士が互いに一歩も引かずにぶつかり合った結果、『あしたのジョー』というマンガは、両者の得意とするいずれの領域とも全く異なる、第三の地点へと、作品の像が結ばれることになった。

ぶつかり合う個性が、梶原的な「右翼結社のユートピア」とも、ちば的な「貧民共同体の楽園」とも異なる場所へ作品を押し出したのだが、『あしたのジョー』は「世界に投げ出され、単独で世界と対峙する」青年の実存という、両者のいずれの個性からもかけ離れた物語として奇跡的な像が結ばれたということだろう。

終幕へ進むに従い、登場人物が次第にジョーから離れ、段平すらも存在感をなくしてジョーが孤独化していく印象は、まさに「唯一無二の私が全世界と対峙する」青年の実存が純化してゆく必然だ。

孤独に世界と敵対する青年の実存は、観念の吸引をも必然化する。
生命の危険を無視するようにボクシングへのめり込む展開は、スポ根の「克己心」の表現ではなく、世界の具体性から逸脱して「観念」に憑依されていく現れだ。
終幕にやや唐突に登場する「真っ白な灰になりたい」というセリフは、もはや「チャンピオンになる」といったスポ根的努力への「報酬」という実体性が無意味化して、破滅も辞さず「果てまでゆく」、生命を燃焼させたいという「観念」の呪縛に囚われきったことを示している。

そうして「果てまでゆく」観念に導かれるまま、最終戦では、すべての登場人物は単なる傍観者と化して「試合」の特権的な場から排除され、単独で世界と対峙する「青年」は、真っ白に燃え尽きて実存を生き切るラストを迎える。

20世紀的な青年の実存と観念の必然を描いた原作マンガが、あの時代に熱狂されたのも当然だろうか。


本作において、メガロボクス参戦に先立ってまずIDを偽造しなければならなかった主人公は、IDカード=アイデンティティ・カードを持たない=アイデンティティのない、世界の中に存在の基盤を持たない人物として登場する。
すなわち、「世界」の中に裸のままで単身投げ出されている、一人で全世界と対峙するものとして。

だが、明らかに空疎であるはずの自らの実存を埋める「観念」にしては、しゃにむに「戦い」を求める描写には「呪縛力」が希薄だ。
むしろ、世界と対峙する自覚すらない、空虚の人格化にすら見える。

虚空のかなたの「果てまでゆく」観念の呪縛を感じさせるのは、ライバルのチャンピオン、ユーリのほうだ。
すべての実績も、約束された栄光もスポンサーもパトロンも捨てて主人公との試合に挑むチャンピオンは、他者に誇示する栄光としての「勝利」ではなく、「観念」としての勝利、強さという「観念」に憑かれているのだと示されている。

現代において、「観念」の呪縛を説得的に描き出すには、まずチャンピオンという「勝者」が、持てるものを投げ捨てる描写が必要であったのかもしれない。
何も持たない「野良犬」が、実存の空虚を「観念」で埋めることは、現代では必ずしも必然ではないのだろうか。

しかし、ユーリの「観念」の呪縛を生み出すものは、「野良犬」である、アイデンティティを持たない空虚な主人公との試合だ。

何も持たずに「単独で世界と対峙」して「観念」に憑かれる『矢吹丈』を現代によみがえらせるために、矢吹丈は、主人公とユーリの二人に分離したのだといえるだろう。

そうした意味では、最終戦の結果は、もはや重要ではない。
矢吹丈の分身である両者がグラブを交えた時点で、「矢吹丈」は「一人」に統合され、「真っ白な灰」=観念の浄化はすでに成就しているともいえる。

ラストシーンの、見方によっては拍子抜けする穏やかな描写は、観念の浄化の向こうの現代的な表現なのだろう。
ようするに、その後のことは「どうでもいい」
原作マンガのラストシーンの後に何を付け加えても蛇足であるように、意味のある描写は何をもってきても蛇足なのだから。

それでも敢えてラストシーンが存在するのは、プリズムを通過した光が分光するように、「矢吹丈」が現代という装置を通過して主人公とユーリへと分化した、現代的な偏差のためかもしれない。


こうした本作の感想は、しかし、本作が『あしたのジョー』のアニメ化である、という了解があって生まれたものだ。
それゆえ、冒頭では長々しく原作マンガについて記述した。

別に作品の宣伝文句まで作品の一部として組み込まれているとは思わないが、気に止めてしまった以上、感想は影響を受けてしまう。

この情報がなく、単体で本作を視聴したならば、主人公の動機も試合でのランクアップも、ともすれば単なる上昇志向と承認欲求に駆動されるルサンチマンのように見えかねない。
最終戦を前にしたユーリの振る舞いも、「男の美学」とか「戦士の矜持」のような類型性に陥ってしまうだろう。

そうなれば、主人公の造形が動機が薄っぺらで、チャンピオンの行動が理不尽なご都合主義に受け取られかねない。

それはそれで、異世界もののような、主人公がシンプルな動機で勝利を収め続け、周囲の人間と分かり合って受け入れられるラノベ的感性のアニメ作品として観ることもできるだろう。


しかし、「原作」が心に引っかかってしまった以上、「観念」の「果てまで」行って再び人の輪に回帰してくる展開は、現代で視聴者の「承認」を得るためには、「果て」で燃え尽きる結末はあきらめざるを得なかったのだな、と思わずにいられない。

観念に憑かれることが必然であった20世紀青年の「実存」と、現代の青年の「実存」のありようが変わってしまっている現れのようにも感じられた。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 8

65.2 3 オマージュで仲間なアニメランキング3位
異世界失格(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (121)
372人が棚に入れました
とある文豪と、その愛人がこの世を去った。 憂い多き人生の如く渦を巻く激流へと身を投げ...るよりも早く、猛スピードで突っ込んできた〝例のトラック〟によって。 文豪が目を覚ますとそこは、異世界の教会。案内人は、慈愛に満ちた瞳で微笑みかける。 「ようこそ冒険者よ。あなたは選ばれ、転移したのです」 御多分に洩れず、勇者の使命を背負わされてしまう文豪。だが、彼は転移者の誰もが与えられる〝あるもの〟を持たなかった......。 「...ふふ。恥の多い生涯だ」 この世でも、異世界(あの世)でも <失格者>の烙印を押された文豪(センセー)の冒険が幕を開ける。 きっと、どこかにいるはずの「さっちゃん」を見つけ出し、今度こそ、あの日の本懐——心中を遂げるために。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

出オチのネタ作品で終わらない! →「人間の描き方」が濃密

【レビューNo.156】(初回登録:2024/12/1)
コミック原作で2024年作品。全12話。


(ストーリー)
主人公である「先生」は愛人(さっちゃん)とともに入水して心中しようとし
ていた。
ところがそこに何故かトラックが突っ込んできて――
「先生」が目覚めると今度は西洋風の建物内にいた。
そこで聖職者の女性アネットから
・ここがザウバーベルグという大陸(異世界)であること
・他の世界で不幸な人々の中から選んだ人を「異世界当選トラック」を使って、 
 冒険者・勇者として転移させていた
という説明を受ける。
しかし「先生」はステータスが低すぎて勇者とは呼べないレベル。
心配するアネットに「僕は生まれながらに作家」と言い放つ「先生」。
それまでの転移者とのやりとりで心を疲弊していたアネットだったが、「先生」
との出会いに運命を感じるのだった。
そして「先生」は「さっちゃんを見つけて2人で心中」というこの異世界で
生きる意味を見出すのであった。


(評 価)
・「人間の描き方」が濃密
 「どうせいつものなろう原作やろ」と思ったら、コミック原作でしたね。
 作品の全体像をみれば導入部はあえて「なろうの様式美」を踏襲したように
 思います。

 主人公の「先生」はモデルの「太宰治」や彼の作品「人間失格」から
 ・女性との入水心中(そして失敗するところも)
 ・「恥の多い生涯だ」というセリフ
 ・催眠劑「カルモチン」を過剰摂取したがる
 ・女性の気を引くのが上手い
  そして普段はその女性頼みで生きている
 といった特徴を切り取りつつ、すぐに死にたがる生命力に乏しいテンション
 の低いキャラ造形となっています。

 普通なら出オチで終わりそうなものですが、この作品の真骨頂は「先生」が
 「生まれながらに作家」
 であるということ。
 ここでは転移者が
 ・過去の人生は不幸であったが
 ・魔王と戦うために転移の際、強大なスキルが与えられる
 ・しかし魔王討伐後、今度はその力に溺れ転移者自身が新たな脅威となる
 という、なんとも本末転倒な世界になっていますw
 そんな転移者に対し、「先生」の作家という”性”が特殊スキル
 「執筆(ストーリーテラー)」を解放。
 ネタバレレビューを読む
 
 なので「人間を描く」という部分についてはかなり濃密です。
 それに時には「大人の童話」的なみせ方など構成にも工夫が見られ、ひとつ
 ひとつのエピソードのレベルが高く見応えがあります。


・何故かタマに心奪われたw
 とはいえ普段は「先生」の自殺ネタなどのコメディ展開がポンポン入ってく
 るので、割と気楽に観れる作品ではあります。
 「先生」の最初の女性(?)アネットなんかは
 「純真で尽くすタイプで、如何にも『先生』のようなダメ男にハマりそう」
 って感じが笑えますしw

 個人的にはタマがドストライクでしたね。
 (本名はマチルダなのだが、「先生」の一言でタマに定着w)
 デスツリーに捕まっていたところを「先生」が助け、その縁でパーティ仲間
 になったのですが、
 ・武闘家の猫耳少女ですが、ナイスバディで黒髪ショートのエメラルドグリ
  ーンの大きな瞳というチョイスがGood
 ・勝ち気でサバサバした性格でノリもよい
 動いているタマはかなり魅力的でしたね。
 「先生」が覇気のないキャラなので、彼女のチャキチャキした言動が引き立
 ち爽快感が生まれるというか。
 実は亜人の国の姫であって、彼女の物語も「先生」に掘り下げられることに
 なります。

 また他の登場人物関連としては
 ・この世界の統治者:世界教団[ヘルゼーエン]
 ・新統治時代を目論む転移者集団:七堕天使
 ・亡き魔王の娘:ウォーデリア
 といった勢力が入り乱れる世界観になっており、彼らと手を組んだり敵対し
 ながら物語が進行していきます。


あと出だしは「なろうのネタ作品」という皮を被りつつも
「突然手に入れた強大な力でイキる転移者」→なろう主人公を揶揄
とも取れるフシもあり、そういう意味では
「実は『なろう主人公』を『先生』が皮肉る『アンチなろう』な作品でした」
というどんでん返し的なことをやりたかったのかなとも受け取れる作品ですね。
(こういうところに「なろうとは一味違うんだよ!」という原作者のプライド
 を感じるというか)
上述人間描写のレベルの高さも含め、独自の面白さがある作品だと思います。


(追 記)
この作品を観て
「そういや『人間失格』って読んだことないな」
ってことで、漫画版だけどちょっと読んでみたんだよなw

投稿 : 2025/03/22
♥ : 19

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

先生は言った…

先生は自らの足で歩まない。
ポンコツ聖女とタマが引く棺桶。
『Django』(続・荒野の用心棒)ばりの演出は前世の生き様を映すがごとく。
ワンショット・ワンキル。
散りばめられた先生の言葉が世界を…、救う!?
秘めごとを、愛の在り方を探す先生の旅は始まったばかりだ^ ^。
                (2024/07/21)
毎話とても楽しみにしていた作品。
神谷浩史さん、どちらかと言えば、声色のテンションを上げてのツッコミが目立った方でありましたが、今作は新境地でありましょうか。ダウナー神谷センセーのシュールなボケにたらし込まれっ放し、あっという間の最終話。
と言うか、新キャラ(可愛い!)、謎キャラ(赤い人)、やっと顔出しの面々等々、2期が無い方がおかしいと思うのですよね。

カルモチンエターナル、棺桶四駆でレッツ&ゴー!!

投稿 : 2025/03/22
♥ : 11

tomledoru さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

大人向けの,異世界物語。理解できたら面白い。

主人公が作家,物書きというアニメーションをこれまで多分見たことがないと思います。

異世界という名前はついてますが,ほかの異世界もののアニメーションに比べると設定自体が非常に異なっていて、全く違う作品だと思います。

見る年齢が多分、低くなれば低くなるほど評価が低くなるでしょう。

それは心配しますね。おそらく半年もすれば忘れ去られてしまうような作品になってしまうかもしれません。

主人公の作家さんは俗世間を超越した人であり。孤高・至高の人物と言ってもよいでしょうね。

死ぬことをもう恐れていない主人公は,もう何も捨てるものも,欲しいものも,がないですのでこの世にも,異世界にも未練はないはずです。

その純粋な魂によって人々を救っていきます。ここがこの作品の見どころであり、本当に面白いというべきところなんですよね。

前にも書いたかもしれませんが。面白さには2種類あって,猿でも笑えるような人を馬鹿にしたようなコミカルな笑いを誘う面白さと,

人間だけが感じ取れる心の奥底を振るわせる,感動的で甘美なおもしろさとの2種類あるわけですね。

その2種類目、後者を知っている人じゃないと、この作品の本当の面白さはわからないと思います。

異世界もののこれまでのイメージを破ったということと

主人公の心の中に死にたいという願望があるのと反対に人を活かすという矛盾。

そのあたりが面白と思います。そのアンビバレントな作品のアニメーションを私はもっと評価してもいいと思います。

ただ、やっぱり。どちらかというと。学生さんとつく年代より、それ以上の年齢の人向けのアニメーションかなというのも感じますし、評価が低いのも仕方がないと思います。

異世界ものと言っても。「葬送のフリーレン」のような広い世界を縦横無尽に活躍する広さや奥行きは感じられませんし,主人公以外のキャラクターもあんまり目立たないです。

アニメーションとしてはどちらかというと。やや失敗作なのかもしれません。さらに洗練されない2期目はあるのかないのかわからないですが,私は続きが見たいなと思っています。

投稿 : 2025/03/22
♥ : 3

53.6 4 オマージュで仲間なアニメランキング4位
アラフォー男の異世界通販(TVアニメ動画)

2025年冬アニメ
★★★☆☆ 2.4 (32)
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